フリージア(2007)

久しぶりにンアアアアー!っと思ったので忘れないうちに書いておこうと思いブログの存在を思い出した所存。

個人的にンアアアアな作品ほどタイトルが思い出せないくらいの速度で忘れてしまうある意味幸せで馬鹿な脳みそなので、数日前に見たこの映画のタイトルすら「仇討ち法 漫画 映画化」でググってしまった…。

 

フリージア [DVD]

 

犯罪者に対し被害者遺族が合法的に行う仇討ちが許されている日本。主人公・ヒロシはヒグチという女性にスカウトされ、仇討ちを被害者遺族にかわって行う仇討執行代理人となる。元軍人であるヒロシはその戦闘センスを生かしながら確実に仕事をこなしていくが、軍人時代のとある人体実験の影響で感情を失っていた。

幼い孤児達をターゲットに行われた人体実験「フリージア計画」…当時少年兵だったヒロシは孤児達を目的地まで誘導する役目を担っていた。子供達を丘に残し、安全区域に移動しようとするヒロシと上官。しかし、ヒロシは上官の命令をふりきり、子供達を救出しようと戻ってしまう。丘の上でヒロシが見たものは、全てが凍った世界と、只一人生き残った少女ーーー幼いヒグチの姿のみであった。

成長したヒグチは正体を隠したままヒロシに近づき、兄を殺したフリージア計画の責任者である岩崎に復習を企てていたのだった。

 

「原作から大幅改変したにも関わらず、原作を読んでいる人向けの映画」だと思いました。

私は媒体が変わればそれに合わせてストーリーも改変するべき過激派なので、大幅改変したこと自体については問題ないと思います。

というか原作を少し読んだことがありますが、あれを二時間におさめるのは大変困難だと思う…。

ただ改変したからには原作を知らない人にも楽しめる映画であるべきだと思うんですよね。

 

人物描写がほとんどない、気にならない序盤はそれなりにわくわくしながら視聴していました。

今とそんなに変わらないけど、戦時中で不安定な空気が漂う日本の陰鬱な感じも良かった。

ただ物語が進むにつれて粗が気になっちゃって…。

 

溝口はヒロシに苛つきながら殺そうとしてくるし(なんでこんな切れやすい人がこんな危険物を扱う仕事につけるの)、

山田はいつの間にか転職してるし(お前なんで仇討執行代理人になった)、

ヒロシとヒグチはいつの間にかいい感じになってるし(事故の被害者同士共感するところがあ…あったの?罪滅ぼし?)…

 

で!で、です。この登場人物の心境の変化は原作基準になっているので、たとえストーリーが改変されていたとしても原作を知っているとなんでこうなったのか、が割とすんなり分かって映画の役柄に落とし込めるんですよ。

でも何も知らないとキャラクターの心情を示すヒントみたいなものが少なすぎて、上記のように感じてしまう。

そもそも溝口も山田も何かしらの心境の変化を起こしている割には、登場シーン自体が少ない。

その他にも最強の警護人は最後の最後で慢心するし、カツミ事務所の所長はいないし、トシオは父親が軍の責任者という立場にあったから命令を聞いただけかもしれないのにヒグチに仇討対象者にされるし、もはや何故?のオンパレードです。

 

本来なら人間ドラマが持ち味であったはずの作品が、人間ドラマを省略されまくった挙げ句、設定を生かしきれない映画になってしまった、と感じました。

これがアクション映画だったらまだこのストーリーでもいいと思うんですが、戦闘シーンは最初の仇討こそ緊迫感があったものの、その他のシーンはあぁ…ヒロシ凄いね…っていうあっけなさのほうが強い。

 

せめてもう少しヒロシの感情を失っているという設定を上手く活かすくらいのドラマは欲しかった。

その設定すらヒグチのドラマのために用意されたように感じ、結局何を描きたかったのかよく分からない映画でした。

 

 

せめて、ヒグチが自分の復讐心のでいで、実はもう一人の生き残りであったシバザキを殺してしまった…ということを知り苦悩するみたいな描写があれば、「あなたは敵討ち法に賛成か?反対か?」というのがより強く打ち出せたんじゃないのかなーっと。

全体的に仇討法の話というより、ヒグチの復讐劇になっていたのが一番微妙だと感じた点かもしれません。