映画 深夜食堂(2014)

映画「深夜食堂」

私はこの深夜食堂という深夜ドラマのなんともいえない、自主制作映画のようでいて、素人臭いようで、普通の人の日常のようでいて、ドラマチックのようでいて、ただただたんたんとすすむ物語のようでいて、でもなんとなく見てしまうこの雰囲気が大好きで、毎週泣きながらお腹を空かしておりました。

映画も公開当時に見に行こうと思っていたものの、日常的な映画は私の日常にどんどんとけ込んで忘れ去られて行き、今更NHKが放送した録画をやっと見て、またお腹を空かせた次第です。

 

正直に言うと、映画らしくないというか、ただただいつものドラマを複数話つなぎ合わせた、テレビのスペシャルドラマのような映画でした。

まぁそれが深夜食堂というドラマらしいといえばそうなので、ドラマファンとしてはぬるい安心感のなかで見た訳ですが…。

 

先ほども書いた通り映画としてひとつ通しで出てくるキーアイテム的な物はありますが、基本的には独立している3つのお話を通して、深夜の12時から開店する「深夜食堂」の一年間を描く映画です。

 

相変わらず小林薫さんのお味噌汁のような安心感よ。

ドラマ版でおなじみの登場人物達が出てきますが、基本的に映画内で完結しているので映画だけ見ても充分話が分かると思います。

 

ただやっぱり映画としてみると不満の残る作品…

メインは多部未華子が出てくる「とろろご飯」だと思うのですが、何故映画でありがちなお話中のありがちなお話を長い時間かけて描いたのか。

多部未華子さんは割と好きな女優さんですが、一人だけ迫真の演技で雰囲気が違うようにも見える。

(先ほども書いた通り、深夜食堂というドラマは素人臭さ…その中でも役者さんの過剰な演技が独特の雰囲気を作り出しているドラマなのです)

結局この映画を一つにまとめているはずの「忘れ物」はこのお話自体にはそれほど関わらないし、この忘れ物がキーとなるカレーライスのほうが、何気ない何かが誰かの人生とクロスして物語を生み出す深夜食堂っぽいお話で良かったです。

 

でも今思えばとろろご飯もカレーライスも同じくらいの尺だったのかなぁ…?

とにかく、とろろご飯は深夜食堂でやらなくてもいいんじゃないのっていうくらいありきたりなお話で時間の経過が遅く感じられました。

 

何はともあれ良くも悪くもドラマファンの期待を大きく裏切る事なく、深夜食堂に興味はあるけどドラマシリーズを追うのは面倒という人にはとりあえずこれを見ておけば良いよっていう、本当にいつもの深夜食堂を映画にした作品。

とりあえず深夜以外に見ることをおすすめします。